審査委員会特別賞
「建材から発生するホルムアルデヒドの研究」
八城 弘樹 福島県伊達町立伊達中学校2年
小学校の頃から私は自然観察や実験が好きだったので、中学校二年
生になった今年は、夏休みの自由研究に取り組みたいと思い、参考
書などで調べました。やって見たいのは、物質の変化に関する化学
の分野なので、薬品や実験器具が必要になり、家ではとてもできな
く、学校を個人として使わせていただくこともできないので困って
いました。
そのことを母に話したら、知り合いで隣町に高校の化学の先生をな
され、退職されて今は自分で実験設備を持って川などの水質調査研
究をされている先生がおられるから、そこで実験をさせて頂いたら
と言われ、私は喜んで母とその先生の所にお願いにいき、自分の考
えていた研究をいろいろと話しました。
先生は私の話を聞いてから、あなたのやりたいことは本当の研究で
はない、それは実験を行って見たとか、遊びにしかすぎない。本当
の研究は自然の現象や物事に疑問をもち、どうしてその現象がおこ
るのか?なぜそうなるのか?こうしたらどうなるか?というような
ことを調べるのが研究で、どんなことを行ったら研究になるのか、
やって見たいことをよく考えまとめて来なさい、また一人では容易
でないので共同で研究のできる友達がいたら誘ってみなさいとおっ
しゃいました。
それで、科学に興味を持っている友人たちに、相談してみたが、研
究はしたいが何を研究したらよいのか分からないので、四人でまた
先生のところに行き、アドバイスを頂き研究テーマをしぼっていき
ました。
その結果、シックハウス症候群や火災で有毒ガスで死ぬ人が多くな
ったことがマスコミで報道されていたので「加熱した場合建材から
有毒ガスがどの位発生するか」を調べることにし、また先生に相談
したら、それは研究になるだろう、どんな方法で調べるか、実験に
はどんな薬品や実験器具が必要かなど計画を立てることだとおっし
ゃられた。
夏休みに入って先生のところで、計画した方法で実験に取り組んだ。
建材の切れ端を木工所から頂き、細かに切って試験管に入れガラス
管つきゴム栓をつけて、トーチバーナーで加熱することまでは、計
画したが、発生するガスの調べ方が考えられなかったので、先生に
相談すると、発生する有毒ガスにはどんなガスがあるか、そのガス
のなかで君達が確認または発生量が測定できるガスに注目して実験
することだと参考書を貸して下さった。
また四人で話しあって、ホルムアルデヒドが多くの建材から発生す
ること、シッフ試薬で確認できることが分かったのでホルムアルデ
ヒドの発生について調べることにした。
それを先生に話したら、よく考えたね、このように実験の目的や方
法を自分達の力で考え、進めその結果についても自分達で検討する、
それが本当の実験であり、研究なのだとおっしゃられました。
予備実験を進めてみると私たちの計画は、多くの点で不備や分から
ないところがありました。加熱する温度は水銀温度計では測定でき
ないこと、ゴム栓は温度が高くなると融け出すこと、ホルムアルデ
ヒドの量の測定はシッフ試薬だけではできないことなどでした。
先生はこのようなことは君達が分からなくてよい、ここまで進めら
れたことでも素晴らしいと誉めていただき、温度計はデジタル温度
計を、ゴム栓はシリコンゴム栓、ホルムアルデヒドの測定はアセチ
ルアセトン試薬で発色して光電比色計で測定するなど多くの点で私
達の全く知らなかったことを教えていただき、これらの器具も使用
させて頂きました。
光電比色計の測定原理なども教えて頂き、力を合わせ、ときには係
を分担して建材の種類、加熱温度でホルムアルデヒドの発生量が異
なること、活性炭や焼き固めた粘土でホルムアルデヒドは吸収され、
除去できることが分かり、論文のまとめ方も教えて頂き、夏休みが
終わる時は研究論文に完成させることができ研究は一段落しました。
先生は、共同してよくやったね、このような研究は調べてみたら、
もっと高度ではあるが現在いくつかの大学で研究しているテーマだ。
またこの結果は実際の生活にすぐに役立つ素晴らしい研究だとおっ
しゃられた。
私たちの力でも科学の最前線に挑戦できる「化学」という学問の素
晴らしさを感じ、できるなら将来は化学分野の勉強を修め社会のた
めに役立つ仕事をしたいと思いました。
この研究を通して私達は、これまでの学校の実験は、教科書や実験
のプリントに従い結果がわかっていることを、準備された器具や薬
品を先生の指示どうり進め、どうしたら教科書にあるような結果が
でるかに注意して実験を進めたことが、研究ではなかったことを知
り、これからは疑問の解決と言う点から実験に取り組もうと強く感
じました。