審査委員会特別賞
 
「コンタクトレンズについて」
 
野口 季瑛 福岡県私立明治学園中学校2年
「あー。めんどくさいなあ。水で洗っちゃおう。」
「ダメ、ダメッ!きちんと専用の液で洗いなさい。」

毎晩、私の家ではこんな言い争いが繰り広げられている。コンタク
トについてである。

中学校に入って急に視力が下がりはじめた私は今年からコンタクト
を使用している。使いはじめたときは、眼科の先生から使用法につ
いて厳重に注意されたのと、毎日きちんとコンタクトを専用の液で
洗っているまじめな兄の姿を見ていたのも手伝って、決められた通
り使っていた。しかし、兄とは違いめんどうくさがり屋の私はすぐ
にコンタクトの手入れが嫌になった。コンタクトを目から外し専用
の液で洗い保存する。たったこれだけ。でも、そのたったがたまら
なく嫌なのだ。その末が最初にでてきた会話だ。
「なんで水で洗っちゃいけないの?」
「なんか、よく分かんないけど専用の液の中の成分じゃないと汚れ
はとれないの。」
「成分ってなんの成分?」

ん…?自分で言っててふと思った。コンタクトの専用の液の成分っ
て何?水とどう違うの?そんな疑問が次々と浮かんできて、コンタ
クトレンズについて調べてみることにした。

まず、専用の液の成分の働きについて調べてみた。塩酸ポリヘキサ
ニド、界面活性剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、PH調整剤、粘
稠剤、エデト酸塩の八つの薬剤が入っている。塩酸ポリヘキサニド
はプールの消毒薬などにも使われている安全性の高い消毒剤。界面
活性剤はタンパク質などの汚れをおとし、固着しにくくする。緩衝
剤はPHをコントロールし、安定化剤は保存液、等張化剤は装着時
の刺激を減らし、PH調整剤は変質を防止する。粘稠剤はレンズを
洗いやすくするために粘性を出すもので、エデト酸塩は変質防止剤
として使われる。しかし、これは皮膚や粘膜への刺激性が強く有毒
な薬剤の部類に入っている。それを変質を防止≠キるという良い
ところだけを残して他の悪いところは消してしまって、使っている
のだ。私はなんで、そんな事ができるのかとても不思議に思った。
調べてみたかったけどそれはとても難しい内容だったので、もっと
勉強して理解できるようになったら、調べることにした。

長くなってしまったが、つまり、専用の液の中には、消毒・保存・
変質防止などのいろいろな働きがあることが分かった。

次に、水について調べてみた。―この中での水とは水道水のことで
ある。―水には、タンパク質を溶かす塩素が入っている。水道水の
中の塩素がどれ位強いのか、また、コンタクトレンズは塩素をどれ
位吸いよせるのか実験をすることにした。

まず、二つの容器を用意し、その中に同じ量の水道水をいれる。一
つの容器に塩素試薬をいれると、濃いピンク色になった。もう一つ
の容器に使い終わったコンタクトレンズを入れて、更に塩素試薬を
いれると最初のとは打ってかわってうすいピンク色になった。この
ことから、水の中の塩素はとても多く、またコンタクトレンズはそ
の塩素を多くひきつけてしまうことが分かった。そのタンパク質を
とかしてしまう塩素がたくさんついたコンタクトレンズをタンパク
質のかたまりの目につけたらどうなるだろうか。そう考えると、と
ても怖くなった。

また、調べていくうちに、水道水を使用したためにおこる目の病気
があることを知った。

私は、今回、コンタクトレンズのいろいろを調べてみて本当に良か
ったと思う。化学の力で私たちが支えられていることを知ったから
である。意識して自分のまわりを見てみると化学はいろんなところ
で私たちの生活を助けている。例えば、スポーツ選手には欠かせな
い、スポーツ飲料水。あれも、化学の力が役立っている。今まで私
は「化学なんて学校の授業で習うだけ。」と思っていた。しかし、
それは間違いで、身近なところに化学はいきているのだ。これから
も、不思議に思うことは、すぐ調べて新しい何かを探していきたい。

ちなみに、今晩は言い争いせずにすみそうである。

― 文章中のコンタクトレンズとはソフトのことを指している。―