審査委員会特別賞
「音が聞きたい!」
和田 尚子 福岡県私立明治学園中学校2年
私は理科の勉強はあまり得意な方ではないけれど、理科の実験は小
学生のときからすごく好きで、いつも楽しみにしていました。小学
生のときは、あまり実験する機会がなかったけれど、中学生になっ
て実験する回数がとても多くなったので、「何でそうなるんだろ
う?」と思うことが増えてきました。そして、今までで一番疑問に
思ったことは、「なぜ、水素は燃やすと音が出るのだろう?」とい
うことです。これは、小学六年生のときに使っていた理科の参考書
に「水素は、ポンと音を出して燃える」と書いてあったのを見て知
りました。このとき、私は「実際はどんな音がするのかなぁ。聞い
てみたい。実験したいなぁ。」と思っていました。でも、家で実験
をすることができません。なので、その参考書の説明を読んだり、
写真を見たりして終わってしまいました。しかし、私の「音が聞い
てみたい」という気持ちは変わりませんでした。
そして、ついに私の一年半越しの疑問が解決する日がやって来まし
た。ある日の理科の授業で、水酸化ナトリウム水溶液を使って電気
分解の実験をすることになったのです。それは、電気分解装置の中
に水酸化ナトリウム水溶液を入れて電流を流し、陽極の方に酸素を、
陰極の方に水素を集めることができるというもので、集まった気体
は何か確かめるときに、陰極の方に集まった気体にマッチの炎を近
づけて、音が鳴ると水素ということが確認できます。そこで私が待
っていた水素の燃える音が聞けるのです。まず最初に先生がお手本
としてみんなの前でやってくれました。
「どんな音だろう…。」と思っていると、
「……ッポンッ。」
「オォー。」
と、歓声が上がるほど、思ったより音は意外に大きく、後ろの方の
席だった私の耳にもしっかり聞こえました。「こんな音だったんだ
なぁ。」と、しばし感動しながら次は、自分達で電気分解の実験を
することになりました。しかし、私の班は水素があまり発生しなく
てうまく試験管に集めることができず、何回も採集し直してマッチ
の炎を近づけたけれど、期待していた音は聞こえませんでした。結
局、失敗に終わってしまいましたが、私は水素の燃える音が聞こえ
ただけでもよかったし、初めて電気分解装置を使うことができて、
とても楽しかったので満足でした。でも、音は聞いたけれど、なぜ
そんな音が出るのかは調べなければなりません。そこで私は水素の
ことについて調べてみることにしました。
まず、学校の教科書から見ていくことにしました。水素は「同じ体
積を比べたとき、物質の中で一番軽い気体で、スチールウール
(鉄)やマグネシウムなどの金属に、うすい塩酸や硫酸を加えると発
生し、水にとけにくいので水上置換法で集めることができる。また、
空気中で燃えて水になり、水素と酸素が混じり合った状態で火がつ
くと激しい爆発が起こるので大変危険である。」というようなこと
が書いてありました。やはり、なぜ激しい爆発が起こるのかまでは
書いていませんでした。教科書がだめなら、次は図書館です。水素
にまつわる本を何冊か借りてきて、ある本の「爆鳴気」というペー
ジを見てみると、「可燃性の気体は、空気とある割合に混合すると
点火したときに爆発する。その割合が広い範囲になるほど爆発しや
すい。水素はこの爆発範囲がアセチレンについで広く、容易に爆発
する。爆発は連鎖反応で、反応がきわめて迅速にすすみ、そのとき
大きな発熱が起こる。このために気体の圧力が瞬間的に高くなり、
大きな破裂音をともなう。水素と酸素の2対1の混合ガスのことを
爆鳴気という。」と書いてあり、もっと細かいことまで書いていま
した。自分なりに解釈すると、水素は簡単に爆発してしまう気体で、
何らかの反応が考えきれないほど速くすすんで発熱して、圧力が瞬
間的に高くなると、あの「ポンッ」という音が生まれるのです。あ
の一瞬の音を出すために、これだけのことが見えないところで行わ
れているんだなぁと思うと、「水素ってすごいなぁ、化学ってすご
いんだなぁ。」と思いました。これを発見した人もすごいと思いま
す。
地球の中には、私がまだ知らないことが、私の見えないところでた
くさん活動していると思います。そして、私はこの水素について調
べ、考えたことで、また一つ知らない世界のことをほんの少しだけ、
わかったような気がします。こういうことがわかったのも、疑問に
思ったことは解決させたいという気持ちからで、わからないことも
追求すると必ず、自分なりの答えが出てくるんだと思います。
今回は、化学的にも人間的にもわかったことがたくさんあったので、
とてもよかったです。これからも、自分なりの答えを探しながら生
きていきたいと思います。