「プラスになる化学」〜化学は芸術〜
絵手紙を書くのが好きな祖母から、葉書きが届いた。見ると、紫色
石井 里枝 兵庫県 私立 白陵中学校3年
私が不思議に思ったのは、その「雨」である。上から白い絵の具
を塗ったようにも見えず、かといって、細い雨の部分だけ、うすい
色を塗るのは不可能に近い。では、一体、どのようにして、祖母は、
あんなに上手く、雨の部分だけうすい色にできたのだろう。
私は早速、祖母に聞いてみる事にした。すると、祖母から面白い
ことを教えてもらった。それは、こうである。・・・『まず、葉書
きに、牛乳で、細い線を引き(これが後の雨である)よく乾かして
から、普通に絵を書く。』というのである。すると、牛乳で描いた
線の部分だけ、色があまりつかず、雨が降ったように見えるのであ
る。私はきっと、絵の具の成分と牛乳の成分が何らかの形で、化学
反応をしたのだと思った。しかし、次に祖母から、意外な事を耳に
した。「この方法は、もともと、水墨に使われている。」・・・と
いう事は、どうやら絵の具の成分は、関係が無いようである。
そこで私は、ある出来事を思い出した。幼稚園の時である。画用
紙いっぱいにクレパスで花火を描いた。そして、その上あら黒い絵
の具で一面を塗ったのに、クレパスにはつかず、夜空一面に花火が
上がっている絵が描けた。これは、祖母が描く方法と似ている。つ
まり、牛乳の中に何かの成分が墨汁にも絵の具にも共通する水をは
じいているのではないかと思った。水は色んな物をはじくが、牛乳
に含まれている物ではじくといえば・・・「油」だ。牛乳には脂肪
分が含まれている。そうなると油しかない。私はひとりで納得して
いた。では、何故牛乳を使うのか。 「牛乳は白いから。」と祖母
は言った。確かにそれなら、後に目立たないし、適当であるといえ
る。しかし油だって透明だし、牛乳より油が多く濃度が高い。だか
ら「もっとはじく。」これが、私の予想だった。しかし、やってみ
た結果、私の予想は大きくはずれた。はじかないのである。私はが
っかりした。油でもない。では、一体何なのか。
祖母からこんな事を聞いた。祖母は、この方法を絵手紙仲間に教
えていないらしい。だから祖母の友達は、祖母の手紙を見て、色々
やってみたという。そして、祖母の友達のある人が「ロウ」でやっ
てみたという。結果、ロウは固まってしまうので雨の部分がバリバ
リになったが、ほとんど祖母に近い形になったらしい。
そこで私は、牛乳とロウに共通する物はないか調べてみることに
した。牛乳パックに書いてある成分を見てみた。もちろん、脂肪は
含まれている。次を見てみると「固形分」とある・・・これだ!!
ロウも固まるし、これしかないと思った。もし、ロウの成分に固形
分が含まれているなら、答えは固形分しかない。そしてロウの成分
を調べた。『高位脂肪酸、アルコール類とからなる固形エステル
・・・』あった!!・・・がよく見ると、ロウにも油が含まれてい
るではないか。私は思った。「油が固形分によって、固まり、はじ
いているんだ。だから、油でやってみても、固形分が含まれていな
いから、はじかなかったんだ。」
絵を描いた後に、目立たなくて、バリバリにもならなくて、さら
に油と固形分が含まれていないもの・・・それが「牛乳」なのだ。
考えてみると、牛乳や絵の具といったものも化学である。食品に
も化学は使われている。私達は、本当に化学なしでは、生きていく
事ができないと思う。化学は、必要最低限である以上に、人を楽し
ませてくれるものである。今回のような場合には、人に考える力を
くれるものである。これからの社会の中で、もっとプラスになる化
学がうまれることを、私は願う。